チェンマイ旧市街、チャーンプアック門のそば。
細い路地に入ると、小さな食堂があった。
カオソーイ クンヤーイ。
クンヤーイは、タイ語で「おばあちゃん」を指すことばだという。
開いているのは、朝10時から昼2時まで。
売り切れれば、それより早く終わる日もあるらしい。
ストライプのクロスがかかった席につく。
決めることは、鶏か牛か豚か、それだけ。
箸で持ち上げる、二種類の麺

箸を入れると、平たい黄色の麺が持ち上がった。
オレンジ色のスープをたっぷり絡めて、重たく垂れている。
その上に、揚げた麺。
同じ麺のはずなのに、こちらは乾いた音を立てて砕ける。
やわらかい麺と、砕ける麺。
ひと口のなかで、二つの食感が同時に来る。
オレンジ色のスープに、鶏がひとつ

白い器のなかに、ココナッツミルクの色をしたスープ。
骨つきの鶏が、半分沈んだまま横たわっている。
刺すような辛さはない。
スパイスの香りはしっかりあるのに角が取れていて、甘みのほうが先に立つ。
添えられた小皿には、漬けた高菜のような葉と、紫玉ねぎと、ライム。
ライムを絞ると、味が急にほどけて軽くなる。
酸味を挟みながら、また麺へ戻る。
気づけば、器の底が見えていた。
光がにじむ、厨房のほう

顔を上げると、開け放たれた厨房が見える。
湯気と、外から差し込む光で、輪郭がぼやけている。
女性がひとり、黙って麺を上げている。
ステンレスのボウルと、緑のかごと、壁に掛かった小さな額。
飾り気は、どこにもない。
毎日おなじことを繰り返してきた場所の、静けさだけがある。
昼までの、四時間
一日に開いているのは四時間だけ。
それも、なくなればそこで終わり。
観光のついでに寄る店ではなくて、その時間に合わせて行く店なのだと思う。
次にチェンマイに来たら、また午前中のうちにここへ来たい。
ごちそうさまでした。
店舗情報
店名:カオソーイ クンヤーイ(Khao Soi Khun Yai)
エリア:タイ・チェンマイ/旧市街 チャーンプアック門周辺
住所:Sri Poom 8 Alley, Si Phum, Mueang Chiang Mai 50200
ジャンル:北タイ料理・カオソーイ
営業時間:10:00〜14:00
予約:不可
※具は鶏・牛・豚から選べる
※12時半を過ぎると売り切れるメニューもあるため、早めの時間がおすすめ
※営業時間は変わることがあります。訪問前に確認を。