チェンマイ旧市街の北、チャーンプアック門を出てすぐの路地。
日が落ちてから、灯りだけを頼りに歩いた。
Baan Landai。
同じ名前でミシュランに載っている店が別にあるらしいけれど、ここはそれとは違う、小さな一軒。
店先には鉢植えと造花、それとなぜか犬の置物。
にぎやかというより、生活の延長みたいな散らかり方をしている。
木のテーブルにつく。
まず、ビールを頼んだ。
テーブルの上が、そろう

皿がひととおり並んだところで、いちど手を止める。
紫がかったごはん、小さな器の煮込み、澄んだスープ、千切りのサラダ。
そのうしろに、緑の瓶。
グラスにはもう半分ほど注がれている。
一皿ずつが小さくて、全体でようやく一食になる並び方。
こういう組み立ての食事が、いちばん飽きない。
緑の瓶と、氷の入ったグラス

チャーンの大瓶。
タイのどこの店にも置いてある、あの緑のラベル。
グラスには氷が入っていて、注ぐと泡がゆっくり立ち上がる。
ぬるくならないうちに、半分ほど飲む。
軽くて、素っ気ない味。
それが辛いものと並ぶと、ちょうどよくなる。
紫のごはんと、小さな器たち

バナナの葉の上に、紫がかったごはんがひと山。
粒が大きくて、噛むとぷちぷちと弾ける。
横の小さな器には、緑色のたれ。
唐辛子を潰したもののようで、少しつけただけで舌が痺れる。
奥の器は、香りの立つ煮込み。
肉はほろりと崩れて、スパイスの匂いが後を引く。
澄んだスープをひと口挟むと、口のなかが一度もとに戻る。
それからまた、ごはんへ手が伸びる。
千切りの山を、崩す

白い皿に、青い実を細く千切りにしたサラダ(ソムタム)。
にんじんと玉ねぎ、赤い唐辛子が混ざっている。
酸っぱくて、少し甘い。
そのあとに、じわりと辛さが来る。
シャキシャキした歯ざわりが、煮込みの重さをいったん断ち切ってくれる。
ビールが、また減る。
卵と、花と、犬の置物

振り返ると、店先の棚が目に入る。
吊るされた木のへらとはさみ、積まれた卵のパック、手書きの値札。
造花の黄色と、天井から下がる灯り。
その真ん中に、白い犬の置物が座っている。
狙って作られた景色ではない。
必要なものと、好きなものが、そのまま置かれているだけ。
北の夜の、ちょうどいい一軒
高くもないし、気を張る店でもない。
ビールを一本頼んで、皿を三つ四つ並べて、それで夜が終わる。
こういう店が近所にあったら、たぶん週に一度は行ってしまう。
ごちそうさまでした。
店舗情報
店名:Baan Landai(バーンランダイ)
エリア:タイ・チェンマイ/旧市街 チャーンプアック周辺
住所:7, 4 Changphuak Soi 4, Si Phum, Mueang Chiang Mai 50200
ジャンル:タイ料理・北タイ料理
営業時間:10:00〜
予算:ひとり1〜200バーツ程度
※イートイン・テイクアウトあり
※ミシュランに掲載されている「Baan Landai Fine Thai Cuisine」とは別の店
※営業時間は変わることがあります。訪問前に確認を。